170名の熱狂——第39回全国協議会 & COCOROZASHI PITCH 2026 開催報告

170名の熱狂——第39回全国協議会 & COCOROZASHI PITCH 2026 開催報告

2026年2月14日。東京・AKIBAHALL。

全国から170名を超える印刷業界の仲間たちが集結した。

全国青年印刷人協議会 第39回全国協議会——そして、2年間「変態」というコンセプトで突き進んできた西岡議長期の、集大成の日。


「お手並み拝見、はナシで」

開会冒頭、西岡議長はこう言い切った。

「今日のピッチ、どうか『お手並み拝見』という目線ではご覧にならないでください。全身傾聴、全力応援で——俺らたちならこの6名になにをしてやれるだろう?という視点でご覧いただけますようお願いいたします」

この言葉が、この日一日の空気を決めた。


第1部:COCOROZASHI PITCH——6つの志、6つの物語

全国から名乗りを上げた6名の登壇者。持ち時間はたったの5分。その5分に、自分の志のすべてを叩き込む。

SPEAKER 001|下國 延彦(株式会社シモクニ)

「SEALOF——一歩踏み出す、勇気のしるし」

北海道の老舗シール屋の4代目が、ジュニア向けスポーツウェアブランドを立ち上げる。シールとアパレル、一見つながらない。でも「挑戦」という点では同じだ。息子がバスケをする姿を見て、「自分が作ったウェアを着てほしい」——その素朴な想いが、SEALOFの原点。

SPEAKER 002|横山 達也(S-PLUS)

「三ツ星印刷職人を、憧れの職業に!」

12年間、印刷機の前に立ち続けた男が、「教える側」に回る決意をした。現場の悩みはどこも同じ。人手不足、高齢化、技術の属人化。「正しい知識と理屈を、まず学ぶ。その上で現場で実践する」——三ツ星印刷職人という新しい概念で、業界の未来を育てる。

SPEAKER 003|大木 拓巳(株式会社泰清紙器製作所)

「思いやりでつなぐ製造、想いからひろがる価値」

1996年生まれ、28歳の若きアトツギ。受注型の製造業を「主導型」に変える。社員と協力会社の交流イベント、製造予定の共有システム——「ONEPACKネットワーク」を仕組みにすることで、業界の未来を描き始めた。

SPEAKER 004|原田 晋伍(有限会社ラップ)

「日本古来の竹に、レーザーで未来を刻む」

理学療法士から家業の製本・紙加工業へ。そして竹とレーザーという異色の組み合わせで、町工場の再設計に挑む。放置竹林から竹を伐採し、集成材に加工し、レーザーで形にする。地域の高校生とクラウドファンディングまで。「5分じゃ足りない!」の声が会場から上がった。

SPEAKER 005|黒木 昭博(株式会社ラフコネクト)

「笑顔を『見える化』し、世界を繋ぐ!」

通信業界で叩き上げ、31歳で独立。しかし定款に「印刷業」を追加するという型破りな一手で、この業界に飛び込んできた男。「laugh」は笑う、「connect」はつながる。笑顔でつながれる会社をつくりたい——その志は、業界の枠を軽々と超えていく。

SPEAKER 006|酒井 大輔(あらゆる印刷共和印刷株式会社)

「釣りをもっと楽しみ、未来に残すために」

大トリは、釣りと3Dプリンタで海の未来を変えようとする男。年間6,000万個の釣具が海に流出しているという現実。その矛盾を解決するために、根がかり防止ツール「モジャクロス」を自ら設計・試作。6.5バージョンを重ねた執念に、会場は沸いた。6段階評価で平均5.17、「脱帽です」率は回答者の84%。


6名全員が、6段階中平均4.5以上。「もっとできる、がんばれ!」から「脱帽です。あなたについていきます!!」のスケールで測ったこのスコアは、会場の本気の応援を数字にしたものだ。

そして「ピッチを見て自分も何か協力したい」と感じた人は、58%。 170名の会場で、100名近くが「何かしてやりたい」と思った。これが、全身傾聴・全力応援の結果だ。


第2部:特別講演「経営トランスフォーメーション」——北田浩之氏

CCG HOLDINGS 取締役会長・北田浩之氏による60分の基調講演。

28歳で印刷会社を独立創業し、売上84億円・グループ8社の総合プロモーションサービス企業を築き上げた経営者が語る、「社長から経営者への変態(トランスフォーメーション)」。

「企業は『トップの当事者意識の欠如』で衰退する」

「経営者の寿命 < 事業の寿命 < 企業の寿命。先代の型を越え、業界の枠を超えよ」

「人は『見たり』・『聞いたり』・『試したり』の3つの知恵で出来ている」

講演の理解度は6段階中5.29。「『社長』と『経営者』の違いを意識するきっかけになった」と回答した方が約7割にのぼった。

参加者の声をそのまま紹介する。

「家業で我流でやってきて、社長業をしていたな。そして、不満はあっても、試さなかった、と。だから、いまだと。本当に心に刺さりました」

「今知りたかった話が全て詰まっていました」

「まさにやるべきことが明確になった。実戦あるのみ」

6名のピッチで「志の原石」を目撃し、北田氏の講演で「それを経営として昇華する道筋」を学ぶ。この2つが連なることで、参加者一人ひとりの中に「自分はどうする?」という問いが生まれた。


表彰式——6つの志に、6つの賞を

  • 全印工連賞(全国印刷工業組合連合会)→ 原田 晋伍 さん
    業界全体への貢献・発展性を評価。竹×レーザーで町工場の再設計に挑む志が、印刷業界の未来を拓く。
  • 先輩アトツギベンチャー賞(前年度ピッチ登壇者)→ 酒井 大輔 さん
    今後の成長への期待。釣りと3Dプリンタで海を救う——その果てしない伸びしろに、先輩が太鼓判。
  • 緑友会賞(全国印刷緑友会)→ 横山 達也 さん
    同年代として応援したい。現場の人材育成に正面から向き合うその姿勢に、青年世代の共感が集まった。
  • SPACE-21賞(JAGRA青年部 SPACE-21)→ 下國 延彦 さん
    おもしろい・ユニークな視点。シール屋がスポーツウェアブランドを立ち上げる——その発想の飛躍に「もっと聞きたい!」が止まらなかった。
  • 三谷産業賞(三谷産業株式会社)→ 黒木 昭博 さん
    プレゼンテーションの完成度。笑いと熱量で会場を引き込み、5分間を完璧に使い切った。
  • 全青協賞(全国青年印刷人協議会)→ 大木 拓巳 さん
    全青協の理念体現。28歳、最年少登壇者が語った「思いやりでつなぐ製造」は、まさに全青協の志そのものだった。

6名の名前が一人ずつ呼ばれるたびに、会場に拍手が響いた。勝者と敗者ではない。6つの志に、最もふさわしい6つの冠が贈られた。全員が、仲間から認められた瞬間だった。


交代式——「変態」の2年間、そして次なるコンセプト「不完全スタート」へ

西岡議長の総括。2年前、台本を席に忘れてフリーズした話から始まるも、その言葉は次第に熱を帯びていく。

「変革への一歩は、すでにここにいらっしゃる多くの方が踏み出していらっしゃる。では、全青協にできることは何か。その答えが、本日のCOCOROZASHI PITCHです」

「踏み出した一歩を、仲間とともに未来につなげる。『俺らたちならできる!』という集団のエフィカシーをこそ高める」

そして、四ツ橋新議長への交代式。その晴れやかな笑顔に旧2年間の絆が凝縮されていた。

四ツ橋新議長のもと、新たな副議長陣が紹介され、全青協は次の2年間へと動き出した。


アンケートが語る、この日の熱量

回答から見える数字を、最後にまとめる。

「本日の全国協議会は有意義でしたか?」 → 6段階中 平均5.29(5・6評価が82%

「この業界の仲間とともに、自分も経営者として変態していきたい!」と感じましたか? → 6段階中 平均5.15(5・6評価が77%

170名が集まった会場で、4人中3人が「変態していきたい」と答えた。

この数字こそが、西岡議長が2年間かけて追い求めた「集団的エフィカシー」の証だ。


俺らたちなら、できる。

6名の志は、ここから始まる。170名の仲間が、その背中を押す。

印刷業界の未来は、この熱狂の中にある。

全国青年印刷人協議会は、これからも走り続けます。


第39回全国協議会にご参加いただいた皆様、ご来賓の皆様、登壇者の皆様、北田浩之様、審査員の皆様、そして運営スタッフの皆様——本当に、ありがとうございました。

全国青年印刷人協議会

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