新年あけましておめでとうございます。
日頃より全青協の活動に対し深くご理解をいただき、多大なるご支援を賜っておりますこと、年頭に際し改めまして心より感謝を申し上げます。
2020年が新型コロナウイルス感染拡大の影響でよもやこの様な年になるとはまったくの想定外でございました。昨年2月の全国協議会で掲げた今期テーマ「四方よしのデザイン」に向けた活動をこの変化する状況下でどのように行うか、正副議長内でリモートを活用したコミュニケーションを通じ議論し、秋のブロック協議会に向け準備を重ねました。「四方よしのデザイン」に向けた「デザイン思考とデザイン経営」をテーマに、9月19日の名古屋から、11月21日の広島にわたるまで、合計9回のブロック協議会を各地で開催し、延べ人数では、リアル参加で203名、リモート参加で137名、合計340名の参加となりました。開催にあたり、大変な状況の中、皆様のご理解とご協力をいただきましたこと、厚く御礼を申し上げます。
またこれとは別に、経営革新マーケティング委員会においてもテーマの一つに「デザイン経営」があることもあり、青年印刷人に様々な勉強の機会をいただいたこともありがたく存じております。
これまでの今年度活動をまとめ、また来年度の展望を描くイベントとして、本年2月6日に、全国協議会を東京にて開催予定です。「デザイン思考とデザイン経営」を、どのように実践につなげていくかの切り口をご提供する機会にしたいと考えております。詳細につきましては、別途ご案内させていただきます。
さて、本年は延期となった東京オリンピックが開催される予定ですが、私はパラリンピックにも注目したいと思っています。障がいを持った方々の新たなキャリアや目標をもたらし、そうでない大多数の人々の意識変革(障がい者に対するものだけでなく、自分の人生に対するものも)をもたらす、パラリンピックという存在そのものが社会変革を進める装置としてデザインされているものだと思います。また、パラリンピック競技という(通常のスポーツと違う)特別で極端な状況が、そして高いパフォーマンスを達成したいという思いが、各選手の技能や、道具、競技環境、ルール等にどのように影響しているのかをしっかり見ていきたいと思います。
諸説ありますが、現在の我々の仕事にも関係するタイプライター(カーボン紙を用いたもの)は、目が不自由になった恋人女性との文通のため、相手への贈り物として発明されたともいわれます(発明したのはペレグリノ・ツゥーリというイタリア人で、相手女性がタイプした手紙がいまでも世界最古のタイプ文書として残っているそうです)。タイプライターは、その数十年後に商品化された後も、「そんなものは必要ない」と当初は相手にされませんでしたが、やがて世に広く普及し、それまで工場での労働が中心だった女性が事務職に進出する社会変化のきっかけになったともいわれます。
「必要は発明の母」と申しますが、この「必要」を探すのがどれだけ大変で、どれだけ大切か、昨年のブロック協議会にご参加いただいた皆様はお分かりいただけると思います。そしてまたそれには「思い」もとても大事なのです。
そうした視点と心構えで、2021年、そしてこれからを見据えて、青年印刷人の皆様と意見交換、切磋琢磨させていただきたく存じます。関係各位の皆様におかれましては、本年もどうぞご支援、およびご指導のほど、よろしくお願いいたします。
全国青年印刷人協議会 議長 今井 孝治